創設者よりご挨拶

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「勝つことがすべてではない」という言葉を残した人がいます。その人物はおそらく、乳がんと闘う必要が無かったのでしょう。乳がんは相手を選びません。どんな女性か、どんな男性か、どんな家庭か・・・そんなことはお構いなしに攻撃してくるのです。そしてひとたび攻撃を受けた者は、誰もが同じ恐怖におびえ、同じ悲しみの涙を流し、同じ祈りを神に捧げます・・・自らのためにそして家族のために、どうか私をお救いください、と。

 

乳がんを言い換えるなら、それは生涯止むことのない肉体的、情緒的、心理的苦痛をもたらす病です。世界では29秒に一人が乳がんと診断され、75秒に一人がこの地球上で乳がんのために命を落としています。手を打たない限り、今後25年間に2,500万人の男女が乳がんと診断され、1,000万人以上が命を落とすと予測されています。

近年、早期発見への意識向上と個々に適した最先端治療の導入により、さまざまな国で生存率が著しく上昇しています。しかし残念ながら、日本はその先頭集団には入っていません。マンモグラフィ定期検診の受診率がきわめて低いからです。

団塊の世代が乳がん世代を迎えた今、がん専門医や病理専門医の不足が顕著な日本においては、今後ますます、女性の命が危機にさらされるといわざるを得ないでしょう。読売新聞は2008年1月、「がんの診断・治療に欠かすことのできない病理専門医の不足が深刻」と報じました。日本にはわずか2,000人の病理専門医しか存在せず、これは、人口10万人に対して1.4人の病理専門医しかいないという計算になるのだそうです。ちなみに米国では、人口10万人に対して7.9人という数字が出ています。

日本政府が、がん治療の大病院として認可している医療施設は全国に287あります。しかし、そのうちの114施設、もしくは全体の40%の施設で、たった1人しか常勤の病理専門医を擁しておらず、常勤の専門医がひとりも居ない施設が39%もあるというのが現状です。病理専門医の80%の平均年齢が52歳という現実を踏まえると、この不足は今後、悪化の一途をたどることが明白です。

当ファンデーションがマンモグラフィ機器を寄贈した医療施設から寄せられるフィードバックに、私は希望を見いだしています。ごく初期の腫瘍を発見していたり、地域コミュニティにも個々の女性の間にも意識が芽生え、検診に足を運ぶ姿が増えてきているというのです。ひとえに皆様のおかげです。

日本人女性の12人に1人がかかり、30歳から64歳のがんによる死亡原因の第1位の乳がん。その乳がんに対する意識の向上、高精度の検査、早期発見と適時治療の実現を通して、乳がんが生命を脅かす疾患で無くなる日を目指す・・・それが私たちの使命です。
私自身、乳がんを患い、今は予後マーカーの数値が良好であることに感謝しながら毎日を生きています。もしかしたら再発するかもしれないという可能性のことは、なるべく考えないように努めながら。

でも、それが病であれ老齢であれ、我々の人生の旅はいつの日か終わりを迎えるのです。己の人生と向き合い、‘私は元・乳がん患者’という事実を慈しむことのできる自分が、今、ここにいます。

心より感謝を込めて

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ヴィッキー・パラダイス・グリーン